美容医療ニュース

厚生労働省が、アトピー性皮膚炎などの治療に使われる保湿用塗り薬「ヒルドイド」の患者負担額を10月から引き上げることが、21日分かった。安価な後発品(ジェネリック)の利用を促し、医療費を抑制する狙い。

医療上の必要があると医師が判断した場合は、引き上げの対象外となる。ヒルドイドは美容目的での不適切な利用が増え、医療費の無駄遣いだとの批判も出ていた。

厚労省は10月から、特許が切れた先発医薬品について、ジェネリックの販売から年数が経過していたり、置き換えが一定以上進んでいたりする場合は負担額を引き上げる方針で、ヒルドイドも対象となった。

実際の負担額は、薬のタイプや処方量、年齢などに応じた自己負担割合によって異なる。3割負担の人がクリームのヒルドイドを300グラム処方される場合、窓口負担は、現行より774円増の2439円となる。

ヒルドイドは、雑誌や交流サイト(SNS)などで「美肌になれる」と紹介され、公的医療保険を適用すれば安く入手できることから、化粧品代わりに使う人が増加し、問題となっていた。

(2024/4/22 10:00 毎日新聞より転載)

米国の複数の州で美容目的で「ボトックス」の注射を受けた後に体調不良になったり入院したりする例が相次いでいるとして、米疾病対策センター(CDC)が調査を始めた。いずれもスパなど医療施設ではない場所で注射を受けたとしている。一部で偽造品も見つかった。

ボトックスはボツリヌス菌が作り出す毒素が主成分で、しわ取りなどを目的に施術される。

CDCの発表によると、フロリダ州、ニューヨーク州、ワシントン州など全米9州で施術を受けた20~50代の女性19人で有害事象が報告された。注射部位以外に毒素が広がった可能性が懸念されたため、このうち9人が入院し、4人はボツリヌス菌の抗毒素による治療を受けた。死亡例は報告されていない。いずれも無免許または訓練を受けていない個人から投与され、一部は偽造品だったという。

(2024/4/18 10:55 毎日新聞社より引用)

新型コロナウイルスの無料検査事業を巡り、美容医療を手掛ける「スキンシアクリニック」(東京都荒川区)の石山実穂院長が東京国税局の税務調査を受け、2022年の1年間で約10億円の申告漏れを指摘されたことが21日、関係者への取材で分かった。都から受け取った補助金約28億円のうち約10億円が検査の委託先に支払われておらず、石山院長の個人所得に当たると認定されたもようだ。

過少申告加算税を含む所得税などの追徴額は約6億円に上り、石山院長は既に修正申告を済ませたとみられる。10億円規模の補助金が受給者の個人所得と認定されるのは異例という。

関係者によると、石山院長は21年12月、新型コロナの無料検査所を開設するとして都に事業者登録を申請。22年3月以降、スキンシアクリニックを含む都内の3カ所に検査所を設置し、無料でPCR検査を行ったなどとして補助金を受け取った。

同クリニックは検査業務を外部に委託し、その費用として計約28億円を計上。だが、東京国税局が調査した結果、約10億円は委託先に支払われず、大半を石山院長の夫である医師が検査とは無関係のことに使っていたことが確認された。

(2024年03月21日11時12分 時事ドットコムニュースより引用)

去年4月に大阪市内の美容クリニックで脂肪吸引手術を受けた男性患者が死亡していたことがわかり、警察は担当した医師を業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

書類送検されたのは大阪市にある美容クリニック「HAABドリームビューティークリニック大阪梅田院」に勤務する男性医師(37)です。警察によりますと、この医師は去年4月、男性患者(当時48)の顔の脂肪吸引手術を行った際、出血により窒息するおそれを認識しながら適切な措置を怠り、翌日に男性を死亡させた疑いが持たれています。

警察の調べに対して医師は容疑を否認しているということです。

(2024/02/15 TBS NEWS DIGより)
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【速報】脂肪吸引を受けた男性が翌日”窒息”で死亡 業務上過失致死容疑で男性医師を書類送検 容疑を否認「できることは病院を促すこと、これ以上してあげられることはなかった」
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大阪府警は、業務上過失致死の疑いで、東京・渋谷区に住む37歳の男性医師を書類送検しました。
医師は去年4月、大阪市内にある「HAAB DREAM BEAUTY CLINIC大阪梅田院」で、頬部の脂肪吸引を48歳の男性に実施。警察によりますと、その際医師は手術による出血で血液が湿潤してのどが狭窄し、窒息が生じるおそれがあることを知り得たのに、死亡事故を未然に防ぐ注意義務を怠り、的確な医療措置を受けるよう指示しなかった過失で、脂肪吸引の翌日に男性患者を窒息により死亡させた疑いがもたれています。
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腫れた顔写真送るなど・・・術後にやりとりしていたという
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男性は施術を受けたあと九州の自宅に戻り、医師に、腫れあがった顔写真を送るなどして、術後の異常を訴えるやりとりをしていたということですが、警察は救急要請などを行わず業務上の注意義務を怠り、的確な医療措置を受けるよう指示しなかった過失があるとみています。

 いっぽう医師は容疑を否認しているということです。取り調べに対して、「顔写真を見て医療機関の受診をすすめた。遠方にいる立場として、できることは病院に行くよう促すことで、これ以上してあげられることはなかった」などと話しているということです。
(2024/02/15 Yahoo JAPANニュースより)

糖尿病の治療薬がダイエット目的で使われている問題を受け、厚生労働省は、医療機関の広告規制を強化する。薬の本来の使い方ではなく、自由診療で行う場合、未承認であることなどを明示するよう求める。医療広告ガイドライン(指針)を近く改正する。

この薬は「GLP―1受容体作動薬」と呼ばれ、血糖値を下げるほか、食欲を抑える効果がある。主に糖尿病治療薬として、国から承認を受けているが、ダイエット目的での使用は、効果や安全性が確認されておらず、公的医療保険が適用されていない。

しかし、美容クリニックなどが「やせ薬」として、全額自己負担となる自由診療で投与するケースが増えており、供給不足を招いている。厚労省が美容クリニックのウェブサイトを調査したところ、やせる効果を強調するなど指針に違反する事例が2021年度は50件に上り、22年度には72件に増えた。

指針の改正案では、未承認薬を使った自由診療について、▽未承認薬であること▽入手経路▽海外での副作用情報▽重い健康被害が生じても国から医療費の支給を受けられないこと――などを医療機関のサイトで明示するよう求める。

厚労省の担当者は「本来の目的とは異なる使用は、思わぬ副作用を招く恐れがある。慎重に判断してほしい」と話している。

(2024/02/02 11:25 読売新聞オンラインより転載)

全国に展開していた脱毛サロン「銀座カラー」の運営会社が破産手続きに入ったことが16日、分かった。
約10万人とされる債権者の多くは利用客とみられる。脱毛サロンをめぐる消費者トラブルは急増している。何が起きているのか。

帝国データバンクによると、銀座カラーは有名タレントを起用した広告で知名度を高め顧客を獲得し、全国に約50店舗を構えた2020年4月期には年収入高約125億6千万円を計上していた。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で利用者が減り、業績が悪化。店舗の統廃合をすすめて収益改善に努めたが、スタッフの退職も相次ぎ、運営が困難となった。直近では約30店舗になっていた。

債権者は10万人を超える見込みで、脱毛サロンでは過去最大規模。広告や口コミサイトなどで上位を占めることで、「大手」として安心して契約をした客が多かった可能性があるという。

(2023/12/18 朝日新聞デジタルより)

■「エクソソームの投与で何かを治したと人で実証された例はない」「身体にリスクも」 “若返りや美容効果”うたうクリニックに警鐘

再生医療抗加齢学会が、医学的に承認されていない行為で患者が死亡した事故に関する情報を発表した。
この行為を“若返りや美容”のなどの効果をうたって行うクリニックもあるが、研究者は警鐘を鳴らしている。

再生医療抗加齢学会がホームページにて「幹細胞上清液を使用した治療に関し、患者が死亡するという事象が発生したという情報に接しております」と発表すると、「幹細胞培養上清液」という聞きなれない言葉にもかかわらず、SNSでは大きな話題となった。

再生医療抗加齢学会に所属する複数のクリニックの情報によると、「幹細胞培養上清液による治療」と呼ばれているものの多くは、幹細胞を培養した際に出る上澄み液に含まれるエクソソームという物質などを点滴や点鼻などの方法で人体に投与し、『若返り』や『美容』『身体の痛みの改善効果』などが期待されるとうたっている。

しかし、医療として承認された行為ではない。再生医療抗加齢学会も「医療水準として未確立の療法であり、その有効性・安全性について、エビデンスに基づく十分な検討をお願いいたします」とアナウンスしている。

死亡例の詳細は不明だが、この物質の投与については、効果も安全性も確認されていないとして、以前から警鐘を鳴らしていた研究者がいる。

大阪大学産業科学研究所 曽宮正晴助教は「科学的な根拠がない医療的な行為で、実際にその健康被害が生じているとすれば、倫理的にも科学的にも非常に大きな問題だ」と警鐘を鳴らす。

細胞から分泌される物質であるエクソソームにはタンパク質やRNAなどが含まれ、細胞間の情報を伝達する役割があることから、病気の治療に使えるのではないか、などと研究が進められている。

しかし、それはあくまで「研究の段階」だという。曽宮助教は「エクソソームを体内に入れて何かを治すことが人で実証された例がない。おそらく、基礎研究段階のものから飛躍して、『これが人にもいろんな効果がある』『安全である』と喧伝しているケースが大半だろう」と指摘した。

曽宮助教によると、厳しい規格が設けられている医薬品とは違い、製造工程や手法などで基準が定められていないため、身体に危険をおよぼす可能性もあるという。

「生物由来のナノ粒子であるため、例えば人から採ってきたものについてはおそらく感染症のリスクがある。あるいは、どういった工程で作られているか分からないので、不純物が体に悪影響を及ぼす可能性もある」

研究者でも不純物を取り除くのは困難であり、そもそも幹細胞培養上清液にどのくらいのエクソソームが入っているかを正確に測定することも難しいという。

『ABEMAヒルズ』の取材に対し、再生医療抗加齢学会は、「現在該当省庁が調査していると聞いておりますので、学会としてのコメントは差し控えさせていただきます」としており、患者が死亡した経緯などはわからなかった。

学会は「会員が関連する事故ではない」としつつ、この発表をした理由をこう説明している。

「学会としては、当該治療法を推奨しておらず、会員様にも慎重に取り扱うよう主催セミナー等で啓蒙しており、今回も注意喚起の意図で会員様向けにHP上でご案内をさせて頂いております」

曽宮助教は、「エクソソーム自体が悪いものではない」としたうえで今後は「苦しんでいる患者のために努力している研究者もいるので、きちんとした手順を踏んだ研究に期待してほしい」と述べた。そして、「一部のクリニックの情報だけでなく、真摯な研究者らが発信する情報にも耳を傾けてほしい」と訴えた。

(2023/11/01 ABEMA TIMESより)

■「格安」勧誘で経営悪化 いびつなビジネスモデルに限界も

「脱毛サロン」の倒産が急増している。エステ脱毛を中心とする「脱毛サロン」の倒産は、2023年に9件判明した。既に前年累計の4件を大幅に上回って推移しており、年間では過去最多件数を更新したほか、初めて年間10件に到達する可能性がある。

ただ、脱毛サービス終了の発表や水面下の私的整理、廃業といったケースを含めれば、実際はより多くの脱毛サロンが市場から淘汰されたとみられる。

2023年の脱毛サロン倒産の特徴は、店舗を全国に複数展開し、回数無制限などを謳った通い放題のプランで会員数を拡大してきた中・大規模の企業で頻発している点があげられる。9月には女性専用の脱毛サロン・シースリーを展開していた「ビューティースリー」、男性専用の脱毛サロン・ウルフクリニックの経営に関与していた「TBI」など、大手の脱毛サロンが相次ぎ経営破綻し、通い放題プランを購入した会員などを中心に延べ約5万人が影響を受ける事態となった。

いずれも「月額1万円以下」「永久脱毛」など低価格・長期間の施術を前提としたコースで会員数を増加させたものの、同業サロンとの競争激化で新規顧客の獲得が頭打ちとなり、出店費用など設備投資や固定費の回収が困難となったことで事業継続を断念した。

足元では、契約内容を一方的に変更されたとして訴訟に発展したケースや、新成人となった18・19歳が高額なローン・クレジット契約に巻き込まれるなど、脱毛サロンの契約をめぐる消費者トラブルが問題となっている。

過度な勧誘方法の見直しや「前払い金」の保護に対する業界ルールの策定など、利用者保護の視点に立った脱毛サロンの在り方が問われている。

(2023年10月6日 帝国データバンク発表 Yahoo!ニュースより)

※2015年からの倒産件数と比較し、2023年の1-9月は9件と年間最多を更新した。
それまの件数は多くても5件(2017年)であった。

医師免許がないのに、皮膚に強い光を当てて脱毛し、女性客にやけどを負わせたとして、大阪府警は21日、大阪市西区のエステ店「BeSonder」経営の女(24)(大阪市)と、アルバイトの女(24)(大阪府柏原市)を医師法違反(無資格医業)と業務上過失傷害の疑いで書類送検した。

発表では、2人は昨年8月、医師免許を持たずに、光脱毛の機器に光線の出力を制御するフィルターを取り付けるのを怠って、20歳代の女性客の毛根に強い光を当て、背中に全治約1~2週間のやけどをさせた疑い。2人は医師法違反容疑について否認しているという。

厚生労働省は「強い光線を毛根部分に照射し、毛乳頭などを破壊する行為」を医療行為にあたるとする見解を示している。

エステ店での脱毛を巡る事故は相次いでいる。国民生活センターによると、2022年度の事故件数は163件で、17年度の123件から約3割増えている。日本エステティック振興協議会は、脱毛方法について「除毛や減毛を目的に、毛の幹細胞を破壊しない範囲で行う」とする自主基準を策定し、エステ店に法令順守を求めている。
(2023/06/21 讀賣新聞オンラインより)

医療脱毛の「ウルフクリニック」の運営に関与していた(株)TBI(TSR企業コード:138345503、港区)が、破産手続きを弁護士に一任した。
ウルフクリニックは、男性専門の医療脱毛クリニックを東京、神奈川、愛知、大阪で展開。2022年の開業当初から、口コミと引き換えの割引などで急速に知名度をあげていた。しかし、クリニック開業の投資負担などが重く、資金繰りは新規契約の顧客からの入金で繋ぐ逼迫した状態が続いていた。こうしたなか、2023年4月に突然クリニックを休業。5月中旬頃に再開予定としていたが、営業が再開されることはなかった。この間、未施術分の返金を求める客との間で返金トラブルが相次いでいた。
顧客からの相談を受付けるアディーレ法律事務所の担当者によると、6月14日時点のクリニック利用者からの相談は900名超、平均被害額は約20万円。被害総額は、単純計算で1億8000万円にのぼる。
関係筋によると、TBIの負債総額は1億円超にとどまる見通し。ただ、TBIは医療法人ではないため、開業当初の顧客の一部を除く大半の利用者はウルフクリニック各医院と契約している。この分を加味すると、実際の債務は膨らむとみられる。
アディーレ法律事務所によると、7月上旬をめどに医院の関係者への集団訴訟に踏み切る意向だ。
なお、TBIの代表者および前代表者が役員を兼務する企業は他にも数社あり、それらの企業の動向にも注目が集まっている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年6月19日号掲載「SPOT情報」を再編集)